令和6(2024)年度

まちづくり月記2024年5月号

 最近、毎日のように高齢者の詐欺被害の記事が目に入ります。

 以前、「近所のおばあちゃんが高額な寝具を買わされている」と通報があり、訪問販売業者と対峙した経験があります。本人に「騙されているからもう買わないでね」と念を押して業者の訪問を待っていると、男性の業者が茶の間に入ってきました。役場職員を名乗る私を見て驚きながらも「本人が納得して買っており、立派な商売だ」と言う業者と言い争いになったところ、突然「この人は優しくていい人なの。悪く言わないで」とおばあちゃんが言いました。どっちのこと?と私もあっけにとられて、よくよく相手を見ると、悪人の風体ではなく、誠実そうな好青年に見えました。「とにかく、おばあちゃんはこれ以上布団はいらないのでもう来ないでください」と言うと、業者は帰っていきました。私はいいことをしたと自信満々で見ると、何も話さず寂しそうなおばあちゃんとの時間があり、あの時、もしかすると騙されていると思っていながらもいつも優しく話しかけ、心配してくれた業者の人に信頼や希望を見つけていたのかもしれないと思った記憶が蘇ります。

 高齢者の優しさや寂しさを利用して騙すようなことは悪い、子どもの頃は騙すより騙される方がまだ良いと教えられましたが、近年は騙すより騙される方が悪いという風潮に少し世の中がおかしいと思います。

 暮らしていて良かったというまちは優しい言葉と家族以外で心配してくれる人が大勢いるまちだろうなと思います。

(広報おけと2024年5月号より)

まちづくり月記2024年4月号

 バスを待つ新高校生の姿に「新年度だ!頑張るぞ」と元気をもらう四月、異動等で着任された多くの方々が挨拶に来られます。

 先月、中央公民館で「発達障がい」について講演を聴く機会がありました。この講師は二十数年前の管内のPTA研修会の講師で、教員として「校長室でお茶を飲むことが地域に開かれた学校だと勘違いしている保護者」、「きまりだからと生徒を指導できない先生」等々、歯に衣を着せず保護者や教員に堂々と話す姿に、私はこの先生が教える子どもたちがのびのびと学校に通う姿が想像され、「教育(教育者)には力がある」と胸が熱くなったことを忘れません。「ダメダメと子どもの個性を削って、小さなおりうさんにするのではなく、障がいも含めた個性を認め、褒めて伸ばして苦手なことを克服しながら大きな人間にするのが教育だ」と教員を退職しても教育に対する情熱は変わらない先生だなと再会に感謝しました。

 学校を卒業して社会人になっても様々な先生に会います。近所の人、高齢者や外国の方、子どもたちも私の知らない知識を持っていて、「え、本当」と驚くことも学びの一つです。そしてその人の発する思いや情熱に感動するのも学びです。あの人とまた会いたい、新たなことをもっと知りたいという気持ちにさせるのが教育です。そんな魅力的な人は突然現れ、大概が笑顔が素敵な人たちです。

 さあ、春です。新しい出会いと発見を求めて今日は外へ出ましょう。

(広報おけと2024年4月号より)
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