作り手養成塾って?第1話

◆おけとってどんなところ?

「今日は車で来たんだけど、住んでいる北見市から40分くらいでついたよ。置戸町にはじめて来たけど、まちに木や花がいっぱいだね。」
「置戸町は、総面積が約527㎢の広いまちなんだけど、そのうち森林が約8割を占めていて自然が豊かなんだ。その自然を利用して、農業や林業が盛んなんだよ。人口は約3,000人で少ないけど、お祭りとか地域のイベントが色々あって、中でも7月上旬にある人間ばん馬大会では町外の方も沢山来て、毎年すごく盛り上がるんだ。」

◆オケクラフトって?

「ここが森林工芸館。町内で生産されるオケクラフトを一堂に見て買うことができるよ。そして、この中にある工房で『オケクラフト作り手養成塾』の研修をしているんだ。」
「木のにおいがして、素敵なショップだね。」
「そういえば、オケクラフトの名前の由来は知ってる?」
「うん!置戸町と曲げ桶の「オケ」、手工芸品の「クラフト」を組み合わせたんだよね。」
「そう。工業デザイナー故秋岡芳夫さんの提案によって1983年(昭和58年)に生まれたんだ。材料は、一般製材に不向きなエゾ松などのアテ材を使用し、評価の低かったものに加工することで価値を付けて新しいモノを作り出したんだよ。今では器をはじめ、カトラリーやステーショナリーなど様々な種類のモノが作られているんだ。」
「どの商品も、木目がひとつひとつ違って素敵!」

※アテ材…傾斜地などで樹心が一方に偏って成長したため、通常の木材とは異なる性質をもつ部分のある材のこと。

◆養成塾って?

「誕生の同年に日本橋高島屋でデビューしたんだけど、注文が多くて生産が間に合わないほど人気だった。そこで翌年誕生したのが作り手を養成する研修制度なんだ。」
「ショップのガラス越しに、研修の様子が見れるね。」
「ちょうどいまは研修中だね。講師に教わりながら、オケクラフトの器をつくっているみたい。ちょっと覗いてみよう。」
「こんにちは。今はどんなことをしているんですか?」
「木を削ってオケクラフトのお椀を作っています。この大きな機械は木工ろくろ。木材を吸いつけて回転させ、そこにバイトという刃物を当てて削ることで形を作っていくんです。」
tsukurikata
「作り方の流れは何となくわかりました。日々の研修ってどのように行われていますか?」
「平日の8時45分から17時15分まで研修を行っています。大きく分けて、製作に関する基礎知識を身につける「座学」と、実際に製作をして技術を学ぶ「実習」の2つがあります。普段の研修だけでなく、専門の方を呼んでお話を聞いたり、実際に現場に出向いて研修することもあるので、いろんな刺激を受けられますよ。」
 
様々な知識や技術を、下記の3つの区分から学びます。
◇普段の研修
現役でベテランの作り手を講師に迎え、知識や技術を学ぶ。研修中は講師が傍で作業しているので、困ったことがあっても安心。
◇町外研修
置戸町以外で活躍されている職人の方のところに出向き、お話を聞きながら生産活動の環境や技術を学ぶ。
◇外部研修
町内外の木やデザインについて、関係者や関係機関の方を外部講師として招いたり、開催される研修会に参加して学ぶ。

「せっかくだから、養成塾の先輩にお話を聞いてみよう」
「こんにちは。お話を伺ってもいいですか?」

◆先輩たちの声

Qなんで養成塾に入ろうと思ったんですか?
自分でモノをつくる仕事がしたかったんです。23年間教員として務めていたんですが、たまたま同僚に、この制度を教えてもらったことが応募のきっかけでした。
 

Q女性や未経験者でもできる仕事ですか?
できますよ。糸鋸など、ちょっとした機械を使ったことはありましたが、木工ろくろは触れたことがなかったですし。難しいことがあっても、工夫次第で解決していくことができます。
 

Q研修で「やってみたいな」って思ったことはやれましたか?
いろんなことをやらせてもらって楽しかったです。概念を持たないでやる楽しさを教えてもらいました。物の作り方は教えてもらったんですけど、そこから発展できるようなこともたくさん教えてもらったので。

製作に使われる道具たち(木工房まんま内)

Q畠さんにとって塾の魅力は何ですか?   
一から教えてもらえることですね。全く知識がなくても、大丈夫。また、先生が現役でベテランの作り手さんなので、現場の知識を教えてもらえます。あとは、先に同じ道を歩いて行った先輩の作り手さんたちがいることですね。
 

Q卒塾を迎えますが、今のお気持ちはどうでしょうか?
不安でしょうがないですけど…2年間楽しかったです、とっても。プレッシャーもありますが、お客さんが満足に使ってもらえるようにモノを作っていきたいと思います。

優しい丸みが畠さんらしい(ショップ内)


「私は結婚していなくて独身だけれど、家族で来る人もいるのかな?」
「お隣の共同工房に、家族で引っ越してきて作り手になった先輩がいるからお話を聞いてみたら?」
ということで、2人は共同工房で生産活動をしている松本さんに、お話しを聞いてみることにしました。
Qなんで養成塾に入ろうと思ったんですか?
モノづくりが好きで、ここに来る前は旭川で家具屋に勤めていたんですが、取引先の工房を見せてもらったときにロクロがあって。もっと手を使う仕事がしたい、ロクロをやりたいと思っていたところ、ホームページでたまたま募集を見て応募しました。置戸の話を聞いたり見たこともあったし、前から知っていたんです。

Q置戸町に家族で住み、子育てしてみてどうですか?
田舎に来たいというのもあったし、子供も小さいのでもう少し自然の近いところで育てたいという思いもありました。ちょっとしたものは近くのスーパーでも買えますが、お店がちょっと少ないので、休日は車で買い物に行ったりします。休日は地域の行事に家族で参加したりしています。そして、ここら辺は車通りも少ないので、子供たちを外で自由に遊ばせられる。そうすると、地域の人に声をかけてもらったり、貰い物をしたり。地域の結びつきが強いですね。

ペーパーで仕上げ削り作業をしている様子

Q松本さんが感じる塾の魅力ってなんですか?
現役の作り手さんに、精度の高い技術を教えてもらえることですね。講師がそばで作業しているので、困ったことがあってもすぐ聞くことができます。自分なりに研修に取り組むことができて、やりたいと思っていたロクロを思う存分学べましたよ。

Q今やりたいことや、目標があれば教えてください。
独立して一年経ちますが、自分の商品がどうお客さんに映るのか、売り場に立って反応を見るために、ある展示会に参加する予定です。また、生産の土台が安定してきたら、新しいデザインのモノづくりにも挑戦していきたいと思っています。

使う人目線で工夫のある商品(ショップ内)

◆いろんな機械を使って

◇万能木工機
自動かんな・手押かんな・昇降盤の3つの機能によって、寸法を正確に出し、材料を整える。主に家具の製作に使われる。
◇ベルトサンダー
回転しているベルトに材料をあてて削り、形をつくる。
カトラリーやステーショナリーの製作に使われる。
◇帯鋸(バンドソー)
帯状の刃で材料を切断する。
器などを製作する際に、よく木取りで使われる。

◆今回紹介してもらって

「いろんなお話ができて、楽しかった!オケクラフトのことが良く分かって、より作り手の仕事に興味を持ったよ!」
「それはよかった。置戸町では、その年に生まれた町内在住のお子さんに地域からの贈り物としてオケクラフトの特別セットを贈る『すくすくギフト』、町内の保育施設や小中高校で『給食器』としての利用、家庭ではお客様の『おもてなし』や『贈り物』に使われるなど、オケクラフトは町民にとっても身近な存在なんだ。」
「今日はありがとう!養成塾について真剣に考えてみるね!」
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オケクラフトセンター森林工芸館TEL:0157-52-3170FAX:0157-52-3388